アネスト岩田のホビー用エアタンク「チビタン」を4ヶ月使用したのでレビューします
エアーツールでお馴染みのアネスト岩田キャンベルから、ホビー用として発売されているエアータンク「チビタン」。
今年の2月末に購入してから約4ヶ月ほど使用したので、各部の詳細紹介や使用上のメリットなどをレビューしていきたいと思います!
目次
まずは開封
パッケージは普通の段ボール仕様。
パッケージにも記載されていますが、自転車用の空気入れで空気が充填できるので、コンプレッサーが無くてもエアブラシが使用できるようです。
本体はしっかりとプチプチで梱包されており、付属品や説明書などは袋に一まとめにされています。
そして開封したタンクがこちら!
さすが「チビタン」という名前だけあって、とても小さくてかわいい大きさです。
大きさが分かりやすいように手前に500mlのペットボトルを置きましたが、横幅はペットボトルの背よりも少し広いくらいで、棚や足下に置いても邪魔にならないサイズです。
タンクの容量は2ℓで重さは約1.8kgほど。
最初はこんな小さくてしっかり役に立つの?と少し不安になりましたが、心配ご無用!!とんでもなく良い仕事をしてくれます!
使用した際の詳しい効果については、使用コンプレッサーの話も織り交ぜながら、記事の後半でしっかりと説明させていただきます。
- エアーコイルホース(G1/8・2.5m)
- 自転車バルブ(英式)
- クイックジョイント(20SF相当)
- エアブラシホルダー
何よりうれしいのが2.5mのコイルホースですね!
ホースが付属するので、コンプレッサーとタンクを繋ぐ用の新たなホースを買い足す必要がありません!
このホースだけでも追加で購入するとなると安くとも1,000円くらいはしますから、これは非常にありがたいです。
各部のつくりの詳細
タンクに向かって左側がコンプレッサーにつなぐ入力側です。
タンクの圧力はこちらのメーターで確認できます。
入力側には安全弁が取り付けられており、タンクの最高空気圧の0.45MPaを越える圧力がかかると安全弁から空気を逃がす構造になっています。
誤って高い圧がかかっても安全な設計になっています。(ただし、最高空気圧以上の圧力がかからないように、しっかりコンプレッサー側の圧を確認しましょう!)
タンクに向かって右側がハンドピースに繋ぐ出力側になります。
出力側にはしっかりとレギュレーター(減圧弁)が標準で装着されているので、ハンドピースをそのまま繋げるだけで使用できます。
ジョイント部分の規格は入力側・出力側ともにG1/8という規格で、これはほとんどのホビー用エアツールで採用されている規格なので、自動車塗装用のハンドガンを使うなどの特殊な場合がなければ、ほとんどのコンプレッサーやハンドピースをそのまま繋げることができます。
タンクの足には吸盤状のゴム足が装着されており、どんな場所でも安定して設置ができます。
タンクの底面にはドレン抜きバルブ(水抜きバルブ)が付いています。
使用後はタンクに圧が残った状態(説明書の記載では0.1MPa以上)でこの弁を開けることで、タンク内に溜まった水分や塵を排出することができます。
ドレンをタンク内に溜まったままにするとタンク内に錆が発生してしまうので、作業が終わったら毎回忘れずにドレン抜きを行ないます。
タンクの上部にはエアブラシを固定するホルダーを設置することができます。
私はタンクを足下に置いているので使用していませんが、作業スペースが限られている方などはタンクと一緒にハンドピースを保管できます。
出力側には付属のクイックジョイントを設置できます。
これは業務用のエアホースを簡単に脱着できるジョイントのようですが、模型用の一般的なホースでは使用できないので、あまり出番はないかもしれません。
まあ、おまけ程度に考えておきましょう。
入力側には付属の自転車用バルブを装着することで自転車用空気入れ(英式)を使って空気を充填することができます。
これを使えばコンプレッサーが無くてもエアブラシが使えるようなので、また日を改めて自転車の空気入れを使用したレビューの執筆したいと思います。
WAVE 317(コンプレッサー)と接続してみた
私が普段愛用しているコンプレッサー「WAVE 317」と接続してみました。
「チビタン」には2.5mのスパイラルホースが付属しているので、それを使えば追加のホースやジョイントを購入しなくても、そのまま接続ができます。
また、スパイラルホースが2.5mあるので、コンプレッサーとタンクをある程度離して設置することも可能です。
例えば、コンプレッサーのみ机の下に設置して、タンクのみ卓上に置けば、振動がうるさいコンプレッサーは床置で、頻繁にアクセスするレギュレーターを手元に置くことができるので、ひとそれぞれ配置を試行錯誤して最適なツールレイアウトを構築することができます。
タンクの置き方を工夫すると、より快適に
タンクを置く場所は人それぞれ好きなところに設置すればいいですが、タンクの置き方は一工夫したほうが快適さが増します。
どういうことかと言いますと、このタンクには底面にドレン排出バルブが付いていますが、タンクをそのまま棚や床に置いてしまうと、底面のスペースが狭すぎて毎回タンクを持ち上げないとドレン排出バルブにアクセスができません。
ドレン抜きは作業毎に必ずやらなければいけない作業なので、ここのアクセスが悪いとすごく不便です。
そこでおすすめしたいのが、100均の発泡スチロールブロックを買ってきてカッターで4分割し、タンクの足下に設置する方法です。
こうすることで、タンクの下にスペースができ、ドレン排出バルブに簡単に手が届くようになります。
タンクならコンプレッサーと違って揺れたりすることもないので、発泡スチロールのような軽い素材でも問題無く、予算も100円で済むのでおすすめです!
これをするまでは、毎回タンクを持ち上げてドレンを排出していたので、すごく楽になりました。
実際の使用感
普段私はコンプレッサー・チビタンともに床置して使用しています。
レギュレーターで圧を調整するときに、かがまなきゃいけませんが塗装中にそんなに頻繁に圧を変更することはないので、それほど不便はしていません。
ただ、なるべくアクセスはしやすいようにレギュレーターが手前に来る方向で設置をしています。
自動スイッチ付コンプレッサーでの使用感
私が使用しているWAVE-317にはオートスイッチが搭載されており、チビタンと組み合わせて使用すると、タンク内の圧力が十分に高まると自動でスイッチがOFFになり、徐々にタンク内の圧力が下がってくると自動でスイッチがONになります。
実際に317との組み合わせで使用すると、コンプレッサーの稼動は以下のような感じになります。
- コンプレッサーのスイッチを入れると、タンク内に圧縮空気が充填されるまでしばらく稼動します。
317だと、約50秒ほど稼動してメーター読みで0.32MPaくらいの圧力になると稼動が止まります。
(当然ですが、WAVE317に付いているレギュレーターは最大圧力になるようにしてあります。) - この状態でタンクのレギュレーターの圧力を約0.05MPaにして、ハンドピースから空気を出し続けると約40秒でタンク内圧が0.22MPaくらいまで下がり、コンプレッサーが再稼動します。
実際の塗装ではエアーを出しっぱなしにすることは少ないので、1分以上は静かなまま作業をつづけることができます。 - コンプレッサーはまた0.32MPaまでタンク圧が上がるまで約20秒ほど稼動して停止します。
オートスイッチ付のコンプレッサーを使用すると、だいたいこんな感じです。
0.5MPa以下での使用なら2分に1回約20秒ほどコンプレッサーが稼動するような感じになると思います。
上記の稼動例はコンプレッサーの性能や使用時の圧力によって変わってきますので、下記の317の性能とお持ちのコンプレッサーの性能を比較して、ご検討ください。
WAVE317の基本性能
- 最高圧力
- 0.4MPa
- 連続使用圧力
- 0.22MPa
- 空気吐出量
- 17リットル/分
実際にタンクを4ヶ月使ってみて感じたメリット
[メリット1]湿度が高くても水を吐かない
まず、何より一番ありがたかったのがハンドピースから水の吹き出しが無くなったことです。
雨の日など極端に湿度が高い日はWAVE317の水抜き器だけでは役にたたず、けっこう短い時間でも突然ハンドピースから水が噴き出して涙目になることが多々ありましたが、タンクを設置してから水の吹き出しが全くなくなりました。
まあ、梅雨の間はなるべく長時間の塗装を控えていたというのもありますが、それでも1時間くらいの塗装作業なら水を噴き出すことはありませんでした。
ちなみにタンクを設置する前は悪い日だと15分もたたないうちに水を噴き出していました。
[メリット2]コンプレッサーの稼働時間が短くなった
これは「WAVE-317」のようにオートスイッチ付のコンプレッサーで使用した際のメリットになりますが、コンプレッサーの稼動時間が圧倒的に少なくなりました。
WAVE-317には圧力で動作する自動スイッチ機能が付いています。
これは出力側が一定以上の圧力になるとコンプレッサーが自動で停止し、圧が下がると自動で再稼動するという機能です。
この機能があると手を止めている時など自動でスイッチがOFFになってくれるのでとてもいい機能なのですが、0.5気圧〜0.7気圧くらいで塗装をしているとONとOFFが頻繁に入れ替わってかえって煩わしく感じていました。
カチッ! ブ〜〜〜〜〜ン カチッ! ・・・・・・・ カチッ! ブ〜〜〜〜〜ン カチッ! ・・・・・・・
といった感じで5秒おきくらいにコンプレッサーのONとOFFが入れ替わり、これならかえってつきっぱなしの方がいいよ!!と思えるほどでした。
しかし、タンクを設置したことでコンプレッサーの出力側の圧力低下がゆっくりになったことで、この煩わしかったカチ!カチ!が無くなりました。
タンク内にしっかりとエアーが充填されていることでコンプレッサーの稼働回数が劇的に少なくなり、コンプレッサー自体の負担や、自動スイッチへの負担も減り、静かになると同時にコンプレッサーにも優しい仕様になりました!
WAVE-317やエアテックス001Rなど自動スイッチ付のコンプレッサーをお持ちも方は、このタンクを追加するだけで本当に幸せになれますよ!!
[メリット3]コンプレッサーの定格使用時間を越えて使用しても圧が安定する
わたしが使用しているコンプレッサー「WAVE 317」の定格使用時間は30分となっており、実際にコンプレッサーのみで30分を越える長時間塗装をしていると、目に見えて出力圧が低下しているのが分かりました。
しかし、タンクを追加したことで長時間連続で塗装をしてもハンドピースから出る圧が下がらなくなりました。
これは、タンク内に常にある程度の圧縮空気が貯められているためと、メリット2でも書いたとおり、コンプレッサーの稼動回数が少なくなったことで、30分を越えてもコンプレッサーに負担がかからず稼動がつづけられるようになったことが要因だと考えられます。
ガンプラなどのパーツ数が多いキットを一気に塗装する際などでも時間を気にせずに塗装作業に集中できるようになりました!
その他のネットでよく言われているタンクのメリットはどうか?
上記以外で、よくネットで書かれているタンクを使用した際のメリットについても、個人的な感想を述べたいと思います。
[1]コンプレッサーの脈動が無くなる?
これについては私にはよく分かりませんでした。
そもそもタンクを購入する前から脈動が気になったことが無かったので、タンクを追加したことで変化があったのかは感じ取れませんでした。
もしかするとコンプレッサーの最高圧力(WAVE317なら0.22MPa)で大型のハンドガンなどを使用すれば感じ取れるのかもしれませんが、模型用の0.3〜0.5mm口径のハンドピースではほとんど0.1MPa以下しか使わないので、通常の模型製作の範囲なら違いが分かるほどの大きなメリットは無いと思います。
(ただネット上の玄人の方の意見を見ると、しっかりと「脈動に違いが出る」と書かれている方がたくさんいるので、私が鈍感なだけかもしれません・・・)
[2]圧縮空気の塵の混入が少なくなる?
これについても、私にはよくわかりませんでした。
確かに水分については圧倒的に少なくなりましたが、塵については塗装時に付着してもそれが圧縮空気から出たものなのか、それともただ空気中を漂っていた塵が付いただけなのかほとんど判断できないので、実際のところは私には分かりません。
特に塗膜への塵の混入が劇的に少なくなったといったことは私は感じませんでした。
使ってみて不満だった点
出力側メーターの目盛りの値がいまいち
模型製作の塗装でもっともよく使用する空気圧はだいたい0.03MPa〜0.1MPaあたりを一番多く使用します。
0.1MPa以上の圧力は、自動車用の粘度が高い塗料を大口径のハンドピースで吹く時くらいしか使用しません。
なので、通常の塗装時は0.1MPa以下の圧力で微調整をしながら使用することになりますが、この最もよく使用する圧力の0.1MPa以下の目盛りの幅が小さすぎてメーターを見ながらの圧力調整は難しいです。
特に0.05MPa以下の調整ではほとんど役にたたず、これ以下の圧の調整は感覚で調整するしかありません。
私は普段から圧力はハンドピースの口から出る空気に手を当てながら感覚で調整することが多いので、あまり不便には感じませんが、目盛りを見ながら調整したい初心者さんなどは、少し使いづらいかもしれません。
10ℓ以上の大きめのタンクならこのメーターでもいいと思いますが、ホビー用として販売しているこのタンクにはこのメーターは合っていないと思います。(そもそもタンク自体の最大許容圧が0.45MPaだし)
例えば、GSIクレオスから販売されている「Mr.レギュレーター」などは、しっかりとホビー使用が意識された設計がされていて、メーターの目盛りの最大が0.2MPaになっており、0.1MPa以下の目盛りも大きく微調整がしやすいつくりになっています。
低圧での圧力調整が感覚だけでできるようになれば問題無いところではありますが、数値を目視して圧力調整がしたい方はタンクとハンドピースの間に、新たにホビー用のレギュレーターを噛ませるなどの対策が必要ですので、ご注意ください。
全てを総評して、このタンクをおすすめしたいのはこんな人
とにかく水滴の噴出を無くしたい人
廉価なコンプレッサーで水抜き機能が付いていなかったり、WAVE317のように付いていても機能が不十分だったりして水の噴出に悩んでいるあなたには、このチビタンは本当におすすめです。
特に梅雨時や夏場などの湿度が高くなりやすい季節に使用するとその効果は絶大です。
私は特にこのタンク以外に別売りのフィルターなどは使用していませんが、それでも全く水を吐きません。
水抜き付きレギュレーターは高いものだと4000円以上はしますので、約6000円で[水抜き][レギュレーター][予備タンク]の3つの機能が手に入るなら、コストパフォーマンスはかなり高いと思います。
自動スイッチ付のコンプレッサーを使っている人
チビタンを導入すれば、スイッチON・OFF回数とコンプレッサーの稼動時間を圧倒的に軽減できます。
稼動時間が少なくなれば、それだけ静かに作業ができますし、スイッチやコンプレッサーへの負担も減り、コンプレッサーの寿命延長にも貢献できます。
別売りのレギュレーターの購入を検討している人
プチコンなどの廉価なコンプレッサーを使用しており、追加でレギュレーターの購入を考えている方は、レギュレーターではなくこのチビタンも候補の1つに入れて購入検討されることをおすすめします。
別売りのレギュレーターに比べれば価格は少し高いですが、先にも述べたようにレギュレーター機能が付いているのはもちろん、それプラス[水抜き]と[予備タンク]の機能も手に入れることができます。
それにコンプレッサー一体型のタンクではないので、今後高価なコンプレッサーに買い替えた時にもタンクを再利用できます。
長い目で見ればレギュレーターを買うよりもお得かもしれません。
購入検討しているコンプレッサーの「タンク付」と「タンク無」で迷っている人
ホビー用コンプレッサーには同じコンプレッサーで[タンク付]と[タンク無]のものが別グレードとして売られている場合がありますが、2つの価格差が10,000円近くある場合は[タンク無]+[チビタン]という選択肢もあると思います。
タンク付の方が別でチビタンを買うよりも設置面積が少なくて済むなどのメリットもありますが、上記のような例だと[タンク無]+[チビタン]にすれば4,000円も浮くので、検討してみる価値はあるかと思います。
また、「タンクが自分に必要かわからない」という方は、とりあえずタンク無のコンプレッサーを購入しておいて、使用して不満が出てくるようなら後からこの「チビタン」を追加購入するというのも、ひとつの手だと思います。
まとめ
6,000円という価格でイイことづくめなホビー用エアータンク「チビタン」。
塗装環境をランクアップさせたい方は、ぜひチビタン導入を検討してみてください!
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