BMCタガネを使って円形のスジを彫る方法(ガンプラ改造・スジ彫り)

ヘッダーイメージ
皆さん、ガンプラ製作の時にスジをホリホリしてますか?
現在、自身2体目のとなるガンプラ「HGアッガイ」を製作中ですが、製作にあたりはじめてスジ彫りツールを購入してスジ彫りにチャレンジしています。

今回はそんなアッガイにスジ彫りを施すなかで、手元にあったツールを組み合わせて円状のスジ彫りにチャレンジしてみたので、必要なツールや手順を解説してみたいと思います。

使用する道具

使用する道具
スジ彫りに使うのは主に以下の道具です。

  • 製図用コンパス
  • BMCタガネ(お好みの太さで)
  • クリップ(小さめのサイズ)

この3種を使って同心円のスジを彫っていきます。

製図用コンパス選びのポイント

コンパス選びのポイント

ポイント1・作りがガッシリしている
小学校の数学などで使うようなコンパスだと、作業中に半径がズレたりしてしまうので、作りがしっかりした製図用コンパスを使いましょう。
ポイント2・足の前後の部分が平らになっている
ここが平らになっていないと、BMCタガネがしっかり固定できません。必ず足が平面になっている物を選んでください。
針に角度が付けられる
針の部分に角度が付けられると曲面のパーツでも針を垂直に立たせられるので、作業時に安定します。
針側の足が伸ばせる
ここが伸ばせると針とタガネの先をパーツに垂直に立たせる時に調整がしやすくなります。

ちなみに今回は、製図用品の老舗メーカー「DRAPAS」のコンパスを使用しています。

BMCタガネ

BMCタガネ
タガネの太さはお好みのものでOKですが、これから購入する方は0.15mmが個人的にはおすすめです。
スジ彫りツールは0.2mmと0.3mmも持っていますが、0.2mm以上は少し線が太くなり全てのスジをこれで彫ると少し大味な印象になります。
個人的には0.15mmで基本のスジ彫りをして一部をアクセントとして0.2mm以上のもので彫るとバランスが良い気がします。
ただ、線の太さの印象は個人により感じ方が違うので、少し太めが好きなら0.2mmか0.3mmあたりが良いと思います。

写真のとおりBMCタガネは持ち手が平面になっているので、この部分とコンパスの足の平面を合わせることでガッチリコンパスにタガネを固定できるようになります。
その他の持ち手が丸いツールだとしっかり固定できないので、BMCタガネを使用しましょう。

クリップ

クリップは100均の文具コーナーで10個くらいのセットで100円で手に入ります。
大きなクリップよりも小さなクリップを複数使って固定した方がタガネが安定するので、クリップの口が2cmくらいのクリップを使用しましょう。
店頭で長さを測る際は、1円玉の直径が2cmなので、それで測るといいでしょう。

製作開始〜まずは下書きから

プラスチックスプーン
アッガイの製作時の写真が無いので、今回はプラスチックスプーンをパーツに見立てて作業を解説していきます。

下書きの下準備

スプーン表面のヤスリがけ
まずはスジの下書きをしていきます。
下書きは0.3mmの製図用シャープペンで行なっていきますが、そのままだと表面がつるつるでシャープペンが全然のらないので、しっかり線が残るように表面を600番のヤスリでキズを付けます。
キズをつけるとキズの中に芯が残って、しっかり線が引けるようになります。

シャープペンとテープで下書き

シャープペンでの下書き
今回はパーツが平面でないので、定規などは使えません。
ガイドにはテープを使って下書きをしていきます。
スジ彫り作業でガイドに使用するテープは「ダイモテープ」というプラスチックでできたテープが昔から使われていますが、最近ではHIQ PARTSから「スジボリ用ガイドテープ」というスジ彫りのガイド専用のテープが売られているので、それがおすすめです。
模型製作で使用するためのテープなので、テープのコシや厚みがすごく丁度良く調整されていて、とても使いやすいです。

円の中心にはあらかじめ穴を掘っておく

円の中心に穴あけ
円の中心になる部分にはあらかじめケガキなどを使って浅く穴をあけておきます。
これによりスジ彫り作業時にコンパスが安定します。
穴は最後にパテなどを使って埋めます。

コンパスでの下書き
円の部分もコンパスを使ってしっかり下書きしておきます。

下書き完了

下書き完了
下書きが完了しました。
写真内の赤く印したところにスジ彫りを施していきます。

スジ彫り作業開始

まずは直線部分のスジを先に彫っておく

円部分を彫る前に直線部分のスジを先に彫っておきます。

角に穴をあける
まずはスジ彫りの角になるところに小さく穴をあけます。
これによりスジ彫りの際にはみ出しにくくなります。

直進部分のスジ彫り
付けた穴を基点にそこから外側に向かってスジを彫ります。
ガイドには下書きの時に使用したのと同じテープを使用します。
彫り始めはガイドがテープのみでズレやすいので、力を入れずになぞるようにして10回ほどタガネを走らせます。
そうすると浅くスジができるので、そしたら少し力を入れてスジを彫っていきます。
ただし、力を入れすぎるとズレたりしてスジが汚くなってしまうので、少しずつ慎重に彫っていきます。
イメージ的には30回くらいタガネを走らせて、少しずつスジを深くしていくようなイメージです。
一方のスジが彫れたら、反対側も同じ手順でスジ彫りしておきます。

円部分のスジ彫り開始

[注意]
今回のコンパスとタガネの使用方法はメーカーの想定している使用方法からは逸脱した使い方になりますので、作業を行う場合は自己責任でお願いします。

道具やパーツが破損したり、ケガをされたりしても当方での責任は負いかねます。
また、不意の事故に備えて必ず保護メガネを着用して作業をしましょう。

ツールの組み合わせ方
いよいよ円部分のスジ彫りに入っていきます。
まずは、コンパスのシャープペン部分を取り外し、足の平面部分にタガネの持ち手の平面部分を合わせて、それをクリップ3つで固定します。
これできっちりタガネがコンパスに固定されます。

刃がパーツと直角に入るように角度を調整

刃の角度調整
写真のように刃がパーツに対して直角に当たるようにコンパスを調整します。
刃が直角に当たらないとスジが汚くなったり、作業中にズレたりするので、しっかりと調整しておきます。
針側は完全に直角でなくても大丈夫ですが、作業中に針が穴から外れてしまわないくらいに調整をしておきます。

刃がズレないように慎重にスジを彫る

コンパスでのスジ彫り
刃の位置がズレないように慎重にスジを彫っていきます。
当然ですが、直線部分よりも刃がズレやすいので、特に彫り始めはかなり慎重にスジを彫っていきます。
力を入れたりすると刃がズレたり、最悪の場合タガネの刃が折れてケガをしたりする可能性もあるので、絶対に力は入れてはいけません。
非常に根気がいりますが、スジを彫り終わるまでにタガネを100往復させるくらいの気持ちで慎重に彫り進めていきましょう。

スジボリ後の仕上げ

スジが彫れたらスジ縁のバリ取りと表面処理を兼ねてパーツ表面をペーパーがけしていきます。

コンパス針用の穴を瞬間接着剤で埋める

瞬間接着剤で穴埋め
コンパスの針の固定で使用した穴を瞬間接着剤で埋めます。
瞬間接着剤を穴に1滴垂らして、瞬間硬化スプレーで硬化させてしまいます。

サンドペーパーで表面を平らにする

スプーン表面のヤスリがけ
サンドペーパーを使って表面を平滑にするとともに、先ほどの瞬間接着剤とスジ縁のバリを消していきます。
[#400]→[#600]→[#800]→[#1000]と番手を上げながら表面を馴らしていきます。
表面処理が完了したら中性洗剤と流水を使い、パーツの洗浄をしておきます。
その際、彫ったスジを要らなくなった歯ブラシで磨いて、スジ内に溜まったペーパーかすをしっかり除去しておきます。

その後はお好みの塗装工程を経て完成

パネルの塗り分け工程
加工完了後はお好みの塗装工程で仕上げます。
今回はせっかくなのでパネルラインで色を塗り分けることにしました。

仕上り
塗装が完了したら、エナメル塗料のブラックでスジ彫りにスミ入れして、デカールを貼り付けて、乾燥したらお好みのトップコートで仕上げます。
仕上げ手順は以下にまとめておきます。

  1. サーフェイサー塗装
  2. 基本色塗装
  3. パネルラインでマスキング
  4. 塗り分け色塗装
  5. エナメル塗料でスミ入れ
  6. デカール貼り
  7. トップコート

ガンプラでの使用例

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トップ画像でも紹介しましたが、アッガイなどのマルッこいMSに今回の工程を活用するとスジ彫り表現の幅を広げることができます。
ちなみに画像の脇下部分のスジ彫りの時には、関節パーツの先の部分を針の中心にしてスジ彫りを行ないました。
コンパスが少々値が張るのがネックですが、製図用のコンパスは1本あるとパーツ工作の下書きなどにも活用できますので、ぜひ1本手元に置いてみてはいかがでしょうか。

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