【実験】ABS用接着剤の代用品になりそうな接着剤を探してみた
現在、HGクシャトリヤの改修作業を進めていますが、作業の途中でABSとPSを接着しなければいけない場面に遭遇しました。
通常ならセメダインやタミヤから発売されているABS用接着剤を使う場面ですが、いままでABSを接着したことがなかったので持っていませんでした。
そこで横着な私は「他の接着剤で代用できないかな〜」なんて甘い考えを抱きながら、手元にある接着剤でABSとPSの接着実験をしてみることにしました。
目次
手元にあった5種の接着剤で実験
今回は下記の5種の接着剤を使って接着実験をしてみます。
- Mr.セメント
- タミヤセメント(流し込みタイプ)
- エポキシ接着剤
- 瞬間接着剤
- ツールクリーナー
ツールクリーナーは接着剤ではありませんが、ABSとPSを溶かす力を利用して接着できないか気になったので実験に加えてみることにしました。
それぞれの接着剤でABSとPSのランナーを接着
接着にはバンダイ製のABS(グレー色)とPS(緑色)のランナーをそれぞれの接着剤で接着します。
ランナーの断面はしっかりと平面になるようにそれぞれハイパーカットソーで切断したものを使用しています。
この状態で1日以上放置してしっかりと乾燥させます。
力を加えて接着力を試験
[試験1]引っ張る
まずは両方のランナーを引っ張って接着力を確認してみます。
結果は以下の通りです。
- Mr.セメント
- びくともしません。かなり強力に接着されています。
- タミヤセメント(流し込みタイプ)
- びくともしません。かなり強力に接着されています。
- エポキシ接着剤
- 少し力を入れただけでパキッと剥がれました。ほとんど仮付けくらいの接着力しかありません。
- 瞬間接着剤
- エポキシ接着剤よりは接着力がありますが、力をかけるとパキッっと剥がれました。力がかかる箇所では使えません。
ただし、まったく力がかからない箇所なら使えるかも。 - ツールクリーナー
- ほとんど力を加えなくても、ポロッと取れてしまいました。まったくダメです。
上記の結果から、模型用(PS用)接着剤は引っ張る力には強いようです。
その他の接着剤は力を加えるとすぐに剥がれてしまうので、力がかかる箇所での接着には使えそうにありません。
[試験2]曲げる
引っぱりの試験で生き残った模型用接着剤2種のランナーを、図のように曲げてテンションをかけてみます。
結果は以下の通りです。
- Mr.セメント
- 少し力をかけたくらいでは折れませんでしたが、強めに力をかけたら折れてしまいました。
- タミヤセメント(流し込みタイプ)
- 弱めの力でポキッと折れてしまいました。やはり強い力がかかる箇所では不安が残ります。
手応え的にはMr.セメントは極端に強い力が加わる箇所でなければ実用的な接着力はある感じがします。
ただ今回のように少ない接着面でテンションがかかると剥がれてしまうこともあるので、やはり不安な場合は真鍮線を通すなどの加工をした方が良さそうです。
なぜ模型用接着剤だけ、接着ができたのか
Mrセメントもタミヤセメントもスチロール用接着剤なのに、なぜ接着できたのか?
それは、接着剤の有機溶剤に含まれる成分が一時的にABS樹脂を溶かし、乾燥後にPS樹脂とガッチリくっついたためと考えられます。
- Mr.セメントの有機溶剤
- シクロヘキサン/酢酸ブチル/アセトン
- タミヤセメント(流し込みタイプ)の有機溶剤
- 酢酸ブチル/アセトン
上記はパッケージに記載されていた有機溶剤の成分ですが、[シクロヘキサン][酢酸ブチル][アセトン]はどれもABSを溶融する効果があります。
タミヤセメントよりもMr.セメントの方が強く接着できたのは、もしかするとタミヤセメントには含まれていない[シクロヘキサン]が影響していたのかもしれません。
[結果]強い力がかからない箇所なら、Mr.セメントでも代用できる
今回の実験結果から、Mr.セメントなら大きな力がかからない箇所限定なら代用はできるかなといった感じです。
ただし、がっちり接着するならやはりABS専用の接着剤を使った方が良いと思うので、あくまで代用品として考えておきましょう。
近いうちにABS用接着剤をゲットして、改めて接着力のレポートを紹介したいと思います。