プラモデル用接着剤の種類と特徴
模型作りの組み立て工程で必ず使う接着剤。
プラスチック用接着剤・瞬間接着剤・エポキシ系接着剤など色々な接着剤があり、それぞれに特徴がありますので詳しく説明していきたいと思います。
っえ?プラモデルって、模型用接着剤だけあれば組み立てられるんじゃないの?
模型用接着剤だけで組み立てようとしたら大変なことになっちゃうよ!!!
ちゃんと接着するパーツに合わせて接着剤を使い分けられるように、接着剤の種類を確認しておこう!
目次
プラスチック用接着剤(プラモデル用接着剤)
プラスチック樹脂の接着に特化した専用接着剤です。
塗った箇所のプラスチック地を一時的に溶かしてパーツ同士を同化させるため乾燥後は非常に強固に接着できます。
このタイプの接着剤は粘度が低くサラサラした「流し込み接着剤」と、粘度が高くてドロドロした「スチロール樹脂系接着剤」の2種類になります。
それぞれの特徴や使い方を下記で詳しく説明していきます。
プラスチックを一時的に溶かしちゃうんだね。
接着剤の成分でくっつける訳ではなくて、パーツ同士を同化させちゃうんだ!
その通り!
金属で例えると溶接したみたいになるから、とても強固にパーツを接着できるんだ!
流し込み接着剤(サラサラタイプ)
水のように粘度がなくサラサラしたタイプの接着剤です。
塗布した箇所のプラスチックの表面を溶かしてパーツを融合させることができます。
さらさらタイプの接着剤はプラスチックパーツを合わせてから、その隙間に毛細管現象で接着剤を流し込んで使用するのが主な用途になります。
パーツを噛み合わせてから合わせ目にブラシを充てると「スー」っと接着剤が流れていくよ!
接着剤もほとんどはみ出さないからキレイに接着できるんだ。
毛細管現象を利用して接着するんだね。
接着面も最低限しか溶かさないから、乾燥も早くて作業を早く進められるんだ。
基本的な接着はこのサラサラタイプを使用するのがおすすめだよ。
写真 | 説明 |
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スチロール樹脂系接着剤(ドロドロタイプ)
ドロドロ系の接着剤は接着剤の中にスチロール樹脂が溶け込ませてあり、粘度が高くトロッとしています。
イメージとしてはサラサラの流し込み接着剤の中に、プラモデルのプラスチック樹脂を溶かし込んだような接着剤です。
この接着剤は粘度が高くて流し込み接着剤のような使い方はできないので、パーツの接着面に直接塗布してからパーツを合わせる使い方になります。
溶け込んだスチロール樹脂がセメントのような役割を果たすので、パーツ同士に微妙な隙間があっても、スチロール樹脂が間を埋めて強固に接着することができます。
また、接着面にわざと多めに塗布してからパーツを合わせ、樹脂成分をはみ出させることでパーツの合わせ目消しに使うこともできます。(はみ出た樹脂の乾燥後、ヤスリで樹脂を削って合わせ目のスジを消す手法)
このタイプの接着剤は粘度が高いので、接着面が極端に小さく流し込み接着剤では十分な強度が得られないような箇所でも使用します。
ただしピッタリ密着するパーツ同士に使用しると、樹脂がはみ出して汚くなってしまう場合があるので、塗りすぎには注意が必要です。
もとから接着剤の中にスチロール樹脂が溶かされているから、商品名の通り「セメント」みたいな感じで強固に接着できるんだ。
サラサラの流し込み接着剤だと強度が不安な箇所では、こっちのドロドロタイプを使った方がよさそうね!
写真 | 説明 |
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接着原理を図解で解説
すでにプラスチック用接着剤がパーツを溶かすことは説明しましたが、図を使って特徴をより詳細に解説したいと思います。
流し込み接着剤(サラサラタイプ)
流し込みタイプの接着剤は塗布すると毛細管現象でパーツの隙間に吸い込まれるので、合わせ目で接着剤がほとんどはみ出すことなく接着できますが、反面、パーツの結合には元のプラスチックパーツの樹脂しか使われないので、接着強度が少し弱くなります。
ただ、弱くなると言っても完全にパーツがくっつけばしっかりした強度で接着されるので、安心してください。
気をつけなければいけないのが、パーツの接着面の合が悪く、隙間があったりすると極端に強度が落ちてしまうので、下処理でしっかりパーツの合わせ目を調整しておくことが大切です。
スチロール樹脂系接着剤(ドロドロタイプ)
スチロール樹脂タイプの接着剤は、接着剤に溶け込んだスチロール樹脂がセメントの役割を果たすので、パーツに多少の隙間があっても強固に接着することができます。
反面、粘度が高く接着剤の体積が大きくなりやすいので、パーツを合わせた際にはみ出すことが多くなります。
ただし、このはみ出しも乾燥後にヤスリで削り落とすことで合わせ目にできるスジを消すことに活用できたりするので、合わせ目を埋めて消す「合わせ目処理」に使うことができます。
プラスチック用接着剤の注意点
ここまでプラスチック用接着剤の解説を見てきたけど、強固に接着できるなら組み立ては全部この接着剤ですればいいんじゃないの?
ところが、模型用接着剤の使用で注意しなきゃいけないこともあるんだ!
しっかり読んで失敗しないように気をつけてね!
プラスチック用接着剤は上記で解説してきたとおりプラスチック地を溶かして接着するタイプの接着剤ですので、溶かすことのできない金属パーツの接着には使えません。
金属パーツ同士の接着、金属パーツとプラスチックパーツの接着には、後述する瞬間接着剤を使いましょう。
金属パーツには瞬間接着剤っと。(メモメモ)
それから一番注意しなければならないのが、塗装が済んだパーツの接着に使おうとすると、接着剤に含まれる有機溶剤が塗装を溶かしてしまいます。
誤って使ってしまうとせっかくキレイに仕上げた塗装面がドロドロに汚くなってしまうので絶対に使用してはいけません。
塗装をしたパーツの接着には「エポキシ系接着剤」がおすすめです。
塗装したパーツに使うと塗装が溶けちゃうんだ!
危ないところだったわ。。。
僕は最初知らなくて、完成間近のカーモデルを一度台無しにしました。。。
まあ、、、失敗は成功の母とも言うからね。。。
エポキシ系接着剤
エポキシ系接着剤は2種類の液体を混ぜ合わせ、化学反応により固まるタイプの接着剤です。
プラスチックや塗料を溶かす有機溶剤がほとんど入っていないので、塗装が完了したパーツの接着や、表面が溶けて汚くなってしまうのが困るようなクリアパーツなどの接着に適しています。
エポキシ接着剤なら塗装が溶けたりしないから、塗装後の組み立てにも安心して使えるよ!
クリアパーツもエポキシ接着剤を使うの?
クリアパーツに模型用接着剤を使うとはみ出した時に透明なところが汚くなっちゃうから、エポキシ接着剤を使った方が安心だよ!
化学反応により固まるので接着強度は非常に強固ですが、反面塗装済みのパーツを接着後に誤って引っ掛けたりすると接着面が塗膜ごと剥がれてしまうことがあるので、注意が必要です。
特に塗装した金属パーツを接着した箇所などは、金属パーツと塗料の食い付きが悪いので注意が必要です。
接着後に塗膜ごと剥がれると泣きたくなるから、力がかかりそうな箇所などはなるべく模型用接着剤で組み立ててから、マスキングで塗り分けるなどの工夫が必要だよ!
パーツによって組み立てと塗装手順をしっかり考えて作業するのが大切ってことね。
硬化時間は接着剤によりさまざまですが、瞬間接着剤のようにすぐに固まってしまうことは無いので、接着後に微調整が必要なパーツの接着には重宝します。
カーモデルのミラー部分などは接着後にゆっくりと角度などを微調整できるので、こういった場面では重宝します。
硬化まで余裕があれば、ゆっくりと微調整ができて安心ね!
写真の接着剤はタミヤから発売されているエポキシ接着剤で硬化時間は5分ですが、混ぜ合わせて2〜3分もすれば結構固まってくるので、硬化時間が長すぎず短すぎずでとても使いやすいです。
ただ、10箇所以上など大量に接着をしたい時は硬化時間が短すぎて、
【接着剤を混ぜる】→【2箇所ほど接着】→【接着剤を混ぜる】→【2箇所ほど接着】→以下ループ
といった感じで接着剤が固まり始めると、新たに2液を混ぜ合わせなければいけないので、硬化時間が長いものも1つ用意しておくと、一気にたくさん接着ができて便利です。
写真 | 説明 |
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ウェーブ 瞬間エポキシ接着剤【基本説明】[硬化時間]2分 【通販リンク】 |
瞬間接着剤
瞬間接着剤は主にエッチングパーツ・ダイカスト製パーツ・真鍮線・アルミ旋盤パーツなどの、金属製のパーツの接着に適しています。
他の接着剤に比べ金属パーツを強固に接着させることができます。
金属パーツは瞬間接着剤で接着できるのね。
エッチングパーツとかはこの接着剤で接着するといいよ!
接着面積が大きいパーツにはサラサラの液状タイプを使うとはみ出しも少なく接着できます。
逆に接着面積が小さいパーツにはゼリー状のドロッとしたタイプを使うと強固に接着できます。
真鍮線などの細かなパーツを接着する際は、爪楊枝の先端にゼリー状の瞬間接着剤を点付けして接着します。
ゼリー状の粘度が高すぎて使いにくい時は、ゼリー状とサラサラタイプを混ぜると丁度いい粘度に調整できるよ!
硬化促進剤を使うと一瞬で硬化させることができるのでパーツの表面に気泡がある際は、瞬間接着剤を垂らしてから硬化促進剤で固めてヤスリで整えるなど、パテの代わりとして使うこともできます。
使用の際の注意点としては、硬化すると白くなるので、黒いパーツなどを接着する際にはみ出すと白く目立ってしまうことがあります。また、クリアーパーツなどではみ出すと、ほとんど修正は不可能ですので、注意が必要です。
クリアパーツははみ出すと汚くなってしまうから、エポキシ接着剤か後述のハイグレード模型用接着剤がおすすめだね。
クリアパーツって接着がシビアみたいね。。。
接着の時は気をつけないと。
黒いパーツを瞬間接着剤で接着したい場合はWAVE社から発売されている「黒い瞬間接着剤」(写真左側)を使うと万一はみ出してもあまり目立たないように接着することができます。
その他の特殊な接着剤
セメダイン ハイグレード模型用接着剤
クリアパーツの接着に特化した接着剤で、パッケジのコピーにもある通り「クリアパーツもくもらず接着」することができます。
自動車の窓枠やライトまわりなど、なるべく接着剤を目立たせたくない箇所の接着に重宝します。
水性でプラスチックや塗料を溶かすことがないので、メッキパーツやその他のパーツの接着にも使用できます。
ただし、接着力はそれほど強くないので、完成後はほとんど触ることのないディスプレイモデル向きです。
クリアパーツははみ出しが恐いから、こういうクリアパーツに特化した接着剤はありがたいわね!
接着力が少し弱めだけど、カーモデルとかの窓ガラスやライトまわりは完成後にほとんど触る事がないから、僕はこの接着剤で接着してるよ!
WAVE/黒い瞬間接着剤(高粘度タイプ)
既に瞬間接着剤の項目で少し紹介しましたが、名前の通り真っ黒の瞬間接着剤です。
通常の瞬間接着剤は硬化すると白化してしまうため、暗い色のパーツの接着には非常に神経を使います。
この瞬間接着剤なら硬化後も黒いままなので、ブラック系で塗装したパーツや、カーモデルの窓枠を黒く塗装したものなどの接着に重宝します。
ガンプラの内部フレームは暗めのグレーで塗装することが多いんだけど、そういったパーツを強固に接着したいときは、この黒い瞬間接着剤を使うことが多いね。
黒いパーツならはみ出しても目立ちにくいしね!
また、この接着剤はパテとして非常に優秀で、合わせ目消しやパーツのホール消しなどに使うことができます。
埋めたいところにこの接着剤を塗布して硬化促進剤で固めると、プラスチック素材に近い固さで固まるので、その後の切削作業がとてもやりやすいです。
通常の瞬間接着剤は硬化するとプラスチックよりも固くなるので、少々作業がしずらいですが、この黒い瞬間接着剤を使えばまわりのプラパーツとの固さの違いが少ないため、キレイに仕上げ処理をすることができます。
また、もともとパテとしての使用を想定しているためだと思いますが、量が20gととても多いです。
通常の瞬間接着剤は1本2g〜3gほどなので、パテとして量を気にせずガンガン使用できます。
硬化促進剤ですぐに固められるから、ちょっとした箇所の修正なら乾燥を待たずに作業ができるんだ!
合わせ目消しとかにも使えるの?
意外と粘度が低いから、細かな隙間にもしっかり浸透するし、硬化後の固さも通常の瞬間接着剤ほど固くならないから、合わせ目消しにもばっちり使えるよ!
瞬間接着剤用 硬化促進剤
接着剤ではないですが、瞬間接着剤を一瞬で硬化させることができるスプレータイプの添加剤です。
瞬間接着剤といっても、模型などで接着面が小さかったりする場合は結構硬化までに時間がかかります。
安定が悪いパーツだと固まるまでピンセットなどで保持しなければならなくなりますが、そういった時にこの瞬間硬化スプレーを一吹きすると一瞬で接着剤を硬化させることができます。
先の項目で紹介した、「黒い瞬間接着剤」をパテとして使用する際にも、これを使えば接着剤の硬化を待たずに作業ができるので、作業効率も良くなります。
1本手元に用意しておくととても便利な補助グッズです!
瞬間接着剤とセットで使えば、作業効率がアップしそうね!
はんだこて
ねぇ。このページって接着剤の解説じゃなかったの?
いや!はんだこても金属の接着に使えるんだよ!!
はんだは真鍮線同士など、細かな金属同士の接着に非常に重宝します。
溶接とまではいきませんが、金属を金属で接続するので少ない接着面でもかなりの強度を確保できます。
普通に模型制作をするだけならほとんど使うことはありませんが、AFVモデルなどで車体に付いているハシゴを真鍮線で自作するなど、細かさと強度が必要な時は非常に使えます。