【MP4/5B 制作記 Part.4】ミュージアムコレクションのハクリデカールの貼り付け(タミヤ・1/20・マクラーレンホンダ)
こんにちは!
大寒波の日に一日中窓開けて塗装作業していて風邪ひいたシノです。
皆さんも冬場の塗装は体にこたえるので、しっかり厚着をしてほどほどにしておきましょう。
前回の記事で基本色の塗装が完了したカウルですが、今回の記事ではデカール貼りの作業に入っていきます。
今回は始めてハクリデカールという特殊なデカールを使って作業をするので、ちょっと探りさぐりの作業になると思います。
目次
ミュージアムコレクションのハクリデカールとは
以前製作したB192の時も、ミュージアムコレクションのタバコデカールを使ったんだけど、その時は普通の水転写デカールだったから、ハクリデカールを使うのは今回が初めてなんだよね。。。
じゃああんたもハクリデカールに関してはまったくの素人ってことね。
ちゃんと記事を読んでくれている人のためにレビューできるの?
う〜〜〜ん!!!
いきなり本番だと恐いから、とりあえず添付されてた説明書を読んだり、ネットで下調べをしてみるよ!
とりあえず、添付の説明書を読んでみた
とりあえずハクリデカールの謎を解明するために、添付されていた説明書を読んでみました。
要約すると下記のような事がわかりました。
- 貼付けた後にニス部分を剥がすデカール
- 耐久性が超強力で白の透けもなし
- 貼る際は普通のデカールと同じで水に浸けて貼る
- クリアー層を剥がすのは完全に乾燥してから
- マークソフターは使える
- 注意すればクリアーコート可能
だいたいこんな感じです。
やっぱり、一番気になるのは乾燥後に透明ニスが剥がせることですかね。
それから、注意しながら吹けばラッカー系クリアーでのコートも可能みたいです。
このあたりは普通の水転写デカールと同じですね。
透明な余白部分を剥がせるので、不自然な段差がなくなる
説明書を読んでわかったハクリデカールの一番の特徴は、通常の水転写デカールと違い、乾燥後に透明な余白フィルムを剥がせることで、ボディにインク部分のみ転写できることです。
通常のデカールですとどうしてもマークや文字のまわりに、余白による不自然な段差ができてしまいますが、ハクリデカールならその段差がインクの切れ目にくるので、段差が分かりにくくなるのがメリットのようです。
ただクリアコートした後に磨ぎだしをするつもりだったので、仕上りはどちらでも変わらないかもしれませんね。
とりあえず練習してみる
とりあえず、いきなり本番だと不安だから、使わないベルガーさんのカーナンバー部分をつかって練習してみることにしました!
水に浸けてから転写するまでの作業感は、水転写デカールとほとんど同じ
とりあえず、実験用に準備した塗装面にベルガー用のカーナンバー28を貼付けてみたいと思います。
平面のプラ板にMP4レッドを塗装後、蛍光ピンクを3回重ね塗りし、本番と同じ状態の塗装面にしています。
なぜ、わざわざ蛍光レッドの面を使って実験するのかというと、白いデカールへの蛍光染料の染み出しを一緒に確認するためです。
ハクリデカールの使用は初めてだったので、「転写途中で余白のフィルムが剥がれたりしたらどうしよう。。。」と、少しビビりながら作業しましたが、貼付け終わるまでの一連の使用感は、ほぼ普通の水転写デカールと変わりませんでした。
唯一違いを感じたのは、水に浸けてからデカールが台紙から動くようになるまで、かなり時間がかかったことくらいでしょうか。
最初は通常の水転写デカールと同じように30秒ほど水に浸けて、引き上げてしばらく放置したんですが、全然台紙から離れてくれず、水に浸けては少し置いてを結局4回くらい繰り返して、ようやく台紙からスライドさせることができました。
結局合計で2分くらいは水に浸けていたと思うので、なかなか台紙からデカールが動かない場合は、あせらずに少し長めに水に浸けておいた方がよさそうです。
白インク部分は素晴らしい隠蔽力
そして貼付け直後の状態がこちらです。
せっかくなのでタミヤ製のデカールとの違いを比較できるように、ハクリデカールとタミヤの水転写デカールを並べて貼付けました。
貼付けの際には塗装面側にMrマークセッターを塗布してから各デカールを乗せてあります。
ハクリデカールの方は、マークセッターの影響はほとんど感じられませんでしたが、タミヤの水転写デカールは古くて劣化していたせいか、デカールを転写してすぐに縁がシワシワになって、破けるじゃないかとヒヤヒヤしました。
ただ、綿棒でしっかり押さえたらシワが消えてしっかり密着させることができました。
写真を見て頂ければお判りいただけますが、ミュージアムコレクションのハクリデカールは白インク部分の隠蔽力が素晴らしいです。
下地の蛍光レッドの影響をほとんど受けることなく、しっかりと真っ白なマーキングに仕上がっています。
対してタミヤの水転写デカールは白が透けてしまっており、クリアー塗装前の状態で既にピンクがかってしまっています。
貼り付け後の段差はほぼ同じくらい?
ハクリデカールは余白を剥がしていない状態だと、ぱっと見の感じはタミヤの水転写デカールより、ほんの少しだけ厚いかなといった感じです。
この厚みがフィルム剥離後に薄くなるのか、それともそれほど変わらないのかは、実際にクリアコートして磨ぎ出しをしてみないと違いが分からなそうです。
ハクリデカールの余白フィルムの剥離作業は、完全乾燥後でないとフィルム側にインクが持っていかれてしまうようなので、とりあえず乾燥を待ちます。
デザインナイフとピンセットを使ってフィルムを剥がす
とりあえず24時間乾燥させてフィルムを剥がしてみました。
説明書には数日乾燥させると書いてあったので、雨の日など湿度が高い日はもっと乾燥時間を長くとった方が安全かもしれません。
作業時は真冬の寒い時期でしたが、エアコンの効いた暖かい部屋に置いておいたせいか、24時間の乾燥でも問題無く剥離することができました。
そしてフィルムを剥がした後のデカールがこちら。
写真の通り見事に余白の段差がなくなりました!
磨ぎ出しやトップコートをしないようなライトユーザーの方なら、絶対にハクリデカールの方が仕上りが良くなると思います。
フィニッシャーズのオートクリアーを上塗りしてみる
デカールが貼れたので、いよいよオートクリアーを乗せていきます。
希釈率は説明書に記載されていたオートクリアー[1]に対し、ピュアシンナー[3]の割合にします。
ハンドピースは0.3mmを使い、0.07MPaの圧力でシンナー分を飛ばしながら、塗装面が直ぐに乾燥するように、慎重に砂吹きを重ねていきます。
[軽く砂吹き]→[2~3分乾燥]を20回ほど繰り返して少しずつクリアー層を重ねていきます。
この時点でタミヤの水転写デカールは、ほんの少し染み出しを感じましたが、ハクリデカールの方はほとんど染み出しを感じず、順調に塗り重ね作業は進みました。
約20回ほど砂吹きで重ね塗りした後、塗膜を稼ぐためにドカッと圧吹きをした状態が↓こちら↓です。。。
はい〜。完全にまっピンクになりました〜。。。
砂吹きが順調だったから、完全に油断してたわね。。。
でも本番じゃなくてホントよかったよ。。。
やっぱ未経験でわからないことは、しっかり事前に実験しておいた方が安全だね!
写真の通り、やはり蛍光塗料を塗ったあとのデカールコートは、注意しないといけませんね。
ただし、デカール自体はしっかりと馴染み吹きをしてからコートすれば、ラッカークリヤーに侵されて破れたり歪んだりということは一切起こりませんでした。
ミュージアムコレクションのデカールは、以前製作したB192の時の水転写デカールでもかなりラッカークリヤーに対する耐性が強かったので、蛍光箇所以外のデカールは必要以上に神経質になる必要はなさそうです。
デカールへの蛍光染料の染み出しについては、長くなってしまうので後日別記事にて改めてレポートすることにします!

デカールの貼り方や溶剤耐性がわかったので、デカール貼り本番に入ります
デカールの使い心地もわかったので、カウルへのデカール貼りに入っていきます。
タミヤの説明書にはマルボロデカールでの位置指定は載っていないので、各マーキングの位置はグーグルの画像検索で[MP4/5B]で検索して資料にしました。
位置がわかりにくい箇所はデパイダーで確認
左右でデカールの位置の確認がしにくい箇所はデパイダーを使って各箇所からの距離を測りながら微調整していきます。
デカールが密着してから位置調整すると、マーキングが透明ニス部分から剥がれてしまう恐れがあるので、デカールが動かなくなってしまったら慌てずに上から水分を足して、改めて動かせるようになるまで待ちましょう。

ブラックに塗装する箇所はマスキングテープでアタリをつける
サイドポンツーンの一番下は、最終的にブラックで塗装することになりますが、このブラックの幅がわからないとシェルのマーキング位置のバランスを取るのが難しいので、マスキングテープを使ってブラックに塗装する部分にアタリを付けておきます。
これで塗装後にバランスがおかしくなってしまうのを防ぐことができます。
出っ張りがある箇所は、予め切れ込みを入れておく
写真はリヤウィングのパーツですが、中央に出っ張りがあります。
こういった箇所は予めデカールに切れ込みを入れておくと、その部分を避けながらデカールを貼ることができます。
そのまま貼ると出っ張っている箇所だけマークソフターなどを使わなければいけなくなるため、先に対処しておいた方が安全です。
熱した綿棒を当てて、密着力を高める
デカールが半乾きになったらより密着力を高めるために熱を加えます。
水を含ませた綿棒をハンダゴテで軽く熱して、デカールを上から押さえます。
ただし、あまり熱しすぎるとデカールが熱で歪んでしまう恐れがあるので、ほどほどにしておきましょう。
ハンダゴテが無い場合は、デカールの上からドライヤーで軽く熱を当ててから、水を含ませた綿棒で軽く押さえる方法もあります。
こちらもあまり熱しすぎるとパーツ自体が歪んでしまったりするので注意しましょう。
デカールが貼り終わったら、乾燥してフィルムを剥がす
デカールが全て貼り終わったら、しっかりと乾燥させます。
練習の時は1日しか乾燥時間をとりませんでしたが、本番では念のために3日ほど乾燥させました。
剥がす際は最初はなかなか剥がれないので、フィルムと塗膜の間にデザインナイフの刃を入れて、端が浮いたところをピンセットを使って剥がします。
爪やピンセットなどで最初の剥がしをしようとすると、なかなか剥がれずにかえって塗膜を傷つけてしまいますので、最初は慎重にデザインナイフで刃入れをしたほうがかえって安全です。
私が失敗した箇所を大公開
みなさんが同じ失敗をしないように、おいらが失敗した箇所をちょっぴり恥ずかしいけど大公開しちゃいます!
デカールを熱しすぎて、デカールが歪んだ!
今回のハクリデカールは、密着が甘いとフィルムを剥がす際にマーキングがフィルム側に持ってかれてしまう恐れがありました。
コレを防ぐために、水を含ませた綿棒をハンダゴテで熱して、デカールに押し当てる作業を全てのデカールに施しましたが、1箇所熱を加えすぎてマーキングを歪ませてしまいました。
熱で密着させることで、確実にデカールの密着力が上がりますが、熱の加えすぎには注意が必要です。
デカールが重なってしまい、フィルムを剥がす際に上のデカールが欠けてしまった
リヤウィングのデカールの一部が写真のように欠けてしまいました。
どうやら前面に貼ったデカールの端のフィルムが後方に回り込んでいたようで、フィルムを剥がす際に端が剥がれてしまいました。
あと、デカール貼り付けの際に位置を微調整するために力を入れすぎたため、少し歪みが出てしまいました。。。
上の断面図のように前面に貼ったデカールの透明ニスの上に、後方デカールのマーキングが乗ってしまったようで、フィルムを剥がす際に重なった箇所のマーキングが剥がれてしまいました。
このようにフィルムが重なりそうな箇所は、先に一方のデカールを貼ったら乾燥させてフィルムを剥がし、それからもう一方のデカールを貼るという手順をとらないと危険です。
密着が甘い箇所のマーキングが剥がれる
作業時にすぐに対処する必要があったので写真がありませんが、右側サイドポンツーンの[Shell]の透明フィルムを剥がす際に、密着が甘かったようで文字の一部がフィルム側に持っていかれてしまいました。
幸い慎重に剥がしていたので、フィルムを全て剥がす前に異変に気づけたため、そのまま剥がれてしまった箇所にマークセッターを流し込んでフィルムを戻した後、上から熱した綿棒で押さえることで貼り直すことに成功しました。
再度しっかりと乾燥させた後、慎重にフィルムを剥がしたらしっかりとリカバリーできていたので、フィルムを剥がす際はゆっくりと慎重に剥がすようにした方が、上記のトラブルにもある程度対応できると思います。
ラッカークリアーコートの耐性
ラッカー溶剤耐性は、かなり高くて安心
フィルムを剥がしてからさらに2日ほど置いてデカールを完全に乾燥させた後、フィニッシャーズのオートクリアー(ラッカークリアー)でコートしていきます。
オートクリアーは、添付の説明書に記載されていた通り、[オートクリアー:1]に対し、[ピュアシンナー:3]の割合で吹き付けます。
オートクリアーは原液でもかなりサラサラした粘度なので、ピュアシンナーがより少ない状態でも簡単に吹き付けることができますが、クリアー1:シンナー2あたりの比率から塗装後の乾燥が極端に遅くなるため、デカールへのダメージを考えると説明書通りのクリアー1:シンナー3くらいの比率にしておいた方がいいです。
とりあえず最初は塗装面がしっとりしてしまわないよう気をつけながら、常に半乾きの状態になるようにクリアーを捨て吹きしていきます。
ある程度全体にクリアーが吹けたら少し時間をおいて乾燥させ、さらにクリアーを捨て吹きします。
上記を3〜5回ほど繰り返してある程度デカールをクリアーでコートできたら、全体がしっとりするようにクリアーを塗装する本吹きをします。
今回は捨て吹きを3回しかせずに本吹きに入りましたが、デカールがしっかりと密着さえしていれば、デカールが縮んだり、シワになったりすることはありませんでした。
ミュジアムコレクションは、前回製作したB192の水転写デカールもラッカークリアーの耐性がかなり高かったので、どの種類のデカールでもかなり溶剤耐性が高く作られているんだと思います。
蛍光色上のコートには注意が必要
記事の前半でも書きましたが、翼端板などの蛍光塗料の上にデカールを貼った場合、少しでもクリアーをしっとりさせてしまうと、蛍光染料が染み出してきて白のデカールが染められてしまうので、蛍光色上のデカール塗装ではデカール貼り付け前に一度クリアーコートをして、蛍光染料の染み出しを軽減するなどの手間をかけないと危険です。
蛍光塗料上のクリアーコート方法については、近日中に別記事で詳しく解説しますので、少々お待ちください。
ハクリデカールを使ってみた感想
使い心地は水転写デカールとそれほど違わない
今回、初めてミュージアムコレクションのハクリデカールを使用しましたが、フィルムを剥がす作業以外はそれほど水転写デカールと大きな違いはありませんでした。
貼付ける際にフィルムからマーキングが取れてしまうようなこともありませんでしたし、フィルムを剥がす際もリヤウウィングのフィルムが重なってしまったところと1箇所密着が甘かったところ以外は、大きな失敗をすることもありませんでした。
ただ、今回のMP4/5Bでは貼付け面がほとんどなだらかで、マークソフターなどを使わなければいけないような複雑な形状の箇所が無かったので、失敗が少なかったのかもしれません。
ハコ車などの複雑な形状がある箇所では、また使い心地が変わってくるかもしれないので、別の機会があれば改めてレポートしたいと思います。
磨ぎ出しをしないなら、ハクリデカールの方が絶対キレイに仕上がります
写真はオートクリアーの本吹きを3回した直後の写真です。
デカールの段差がマーキングの切れ目にあるために中途半端なところに段差が来ず、磨ぎ出しをまったくしていない状態でもほとんど違和感なく見れます。
もちろん指でデカールの箇所をなぞるとデコボコしているのが伝わってきますが、磨ぎだしをせず手軽に仕上げたいなら水転写デカールよりも確実にキレイに仕上げることができます。
まとめ
いかがでしたか!?
慣れない方には少し取っ付きにくそうなハクリデカールですが、水転写デカールとそれほど大きな違いはないので、興味がある方はぜひ一度チャレンジしてみることをおすすめします!
次の制作記は、番外編として蛍光塗料上のデカールコートについて解説していきますので、お楽しみに!!