【タイガーⅠ・後期生産型】Part.17「筆塗りで、汚し塗装(ウェザリング・ウォッシング)を施す」(タミヤ・1/48・制作記)
こんにちは!二つ名は「変態という名の紳士」のシノです!
前回の記事で基本塗装が終わったタイガーさんですが、今回は全体に汚し塗装を施していきたいと思います。
水性アクリル塗料とエナメル塗料を主に使いながら、全体に塗装剥げ、錆、雨垂れなどを表現していきます。
このタイガーIは制作記にまとめてあるから、ぜひ他の記事も読んでみてね!
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目次
タミヤのエナメル塗料を使って、車体をウォッシングする
まずは、暗めのエナメル塗料を使って全体をウォッシングしていきたいと思います!
ウォッシングって何?まさかプラモデルを洗うの!?
ウォッシングとは薄めのエナメル塗料を模型全体に塗って、拭き取ったりしながら全体の汚れを調整していく技法のことなんだ。
英語でwashingというと、洗濯とか洗浄って意味だけど、プラモデルでは汚しの技法の名前なんだ。
なんで逆に汚すことをウォッシングと表現するのかは、おいらにもわかりません。。。
(多分塗料で全体をジャブジャブするからな気がするけど)
ウォッシングに必要な塗料と道具
作業に必要な道具は下記のものになります。
- タミヤ エナメル塗料 フラットブラック(XF-1)
- タミヤ エナメル塗料 レッドブラウン(XF-64)
- タミヤ エナメル溶剤
- 塗料皿
- 撹拌棒(塗料を混ぜるのに使います)
- 筆(全体を汚しやすいように、少し太めのもの)
ウォッシング用の塗料の準備
まずは、ウォッシングで使用する塗料を準備していきます。
ウォッシングはブラックのみの塗料で行なう場合もありますが、今回はフラットブラック(XF-1)にレッドブラウン(XF-64)を加えたものを使用していきます。
それぞれの塗料を1:1くらいの比率で混ぜたら、薄め液で3〜4倍くらいに薄めて使用します。
あまり濃い塗料を使用してしまうと、全体が暗くなりすぎてしまうので注意しましょう。
ウォッシングの汚し手順
では、いよいよ汚しの作業に入っていきます。
作業手順は下記のように進めていきます。
[1]全体にジャブジャブ塗料を塗りたくる
車体全体に少し太めの筆で塗料をまぶしていきます。
はじめてだと少し恐いですが、躊躇せずに全体をジャブジャブ塗料まみれにしてしまいましょう。
するとモールドが凸凹しているところや、へこんでいるところに塗料が集まって、スミ入れと同じような効果が得られます。
平面の部分にも塗料が残るため、全体がワントーン暗くなり、落ち着いた色合いになると思います。
[2]綿棒やウエスなどで平面や汚しすぎた箇所の塗料を拭き取る
全体に塗料を塗る事ができたら綿棒やウエスを使って汚れが乗りすぎて暗くなってしまった箇所などを、加減を見ながら拭き取っていきます。
この拭き取り作業をすることで、汚れている箇所と汚れていない箇所の差が大きくなって、全体のコントラストを強くすることができます。
エナメル塗料は乾燥してしまってもエナメル溶剤を含ませた綿棒などで擦れば、しっかりと拭き取ることができるので、焦らずゆっくり作業を進めましょう。
もし拭き取りすぎたと思ったら、もう一度ウォッシング用の塗料を筆で乗せて調整していきます。
一つ注意点としては、汚れの拭き取りでティッシュは使わない方がいいです。
ティッシュは毛羽がたくさん出るため、拭き取ったところに毛羽がたくさん残って汚くなってしまうので気をつけましょう。
毛羽が出ないおすすめの拭き取り用具は、やはり模型用のしっかりした綿棒と、100均などで売られているメガネ拭きがおすすめです。
全体に塗料を塗りたくったことで、全体がワントーン暗くなって落ち着いた雰囲気になりました。
ツィンメリットコーティングの凹みの中に暗い塗料が入たことで、凹凸が一層強調されました。
車体の溶接箇所や、ハッチのまわりなどディテールを強調したい箇所には、少し多めに塗料を流して明暗が強調されるようにしています。
転輪にも墨が入ったことで、凹凸がより強調されました。
少し彩度が強いと思っていた迷彩のグリーン部分もウォッシングをしたことで、丁度いい色味になってくれました。
足回りにオキサイドレッドを塗って、塗装が剥げた状態にする
予定にはなかったのですが、ここで足回りとフェンダー裏をドイツ戦車の下地色であるオキサイドレッドで筆塗りしました。
塗料はガイアカラーのオキサイドレッド(222)を使用しました。
足回りなどの可動部分は、おそらく一番塗装が剥げやすい箇所だと思ったので、ここは大胆に筆塗りで全体に塗りたくりました。
筆塗りなので仕上りが汚いですが、後で転輪を付けて泥などの汚しを加えればほとんど見えなくなるので、問題無いと思います。
オキサイドレッドが乾燥したら、ウォッシングで使用したエナメル塗料を重ね塗りして、車体のトーンに合わせておきます。
これは思いつきで施した作業で、本来の汚し塗装とは全然関係ないから、マネする必要は全然ありません!
あんたの模型製作って、ほんとに行き当たりばったりよね。。。
タミヤのアクリルで塗装剥げを描き込む
一通りウォッシングが終わったから、次は水性アクリル塗料を使って塗装剥げを表現していくよ!
塗装剥げはエナメル塗料じゃなくて、水性アクリル塗料を使うのね。
水性アクリル塗料を使うのには理由があるんだ。
水性アクリル塗料とエナメル塗料は、それぞれを侵さない(溶かさない)性質があるんだ。
この次の項目で錆びの雨染みをエナメル塗料で表現していくんだけど、両方エナメル塗料でやっちゃうと塗装剥げを描いた箇所と錆の雨染みの箇所が混ざってしまって作業がしにくいから、塗装剥げの方は水性アクリル塗料を使ってお互いに影響し合わないようにしているんだ。
塗装剥げ用の塗料の準備
まずは塗料の準備をしていきます。
タミヤアクリル塗料のフラットブラウン(XF-10)に少量のレッド(X-7)を加えて、ドイツ戦車の錆び止め下地塗料色のオキサイドレッドっぽい色をつくります。
今回はウォッシングと違い、しっかりとした描き込みをするために、塗料は少し濃いめにしておきましょう。
極細の面相筆で塗装剥げを描き込む
10/0の極細筆を使って、塗装剥げを書き込んでいきます。
今回はエナメル塗料のように、失敗しても拭き取ることができないので、やりすぎないように時々全体のバタンスを確認しながら、塗装剥げを描き込んでいきます。
無作為に書き込むと、リアル感がなくなってしまいそうなので、実際に使用されている状況を考えながら描き込んでいきます。
- ハッチなど、人の出入りが多くて、踏まれることが多そうな箇所
- ハッチの根元など、動かすことが多い箇所
- モールドの角の部分
- 凹んでいて、水が溜まりやすい部分
- 溶接箇所などの水が溜まりやすい部分
などなど、使用状況や自然の状況などを考えながら、要所を絞って描き込みを行なっていきます。
予備履帯や牽引ワイヤーなど、金属むき出しの箇所も錆として塗料を載せておきます。
雨水の流れを意識した描き込みをする
ハッチの根元やボルトの根元など、錆びた所から雨水が流れた書き込みをすると、自然の中で腐食していった感じを表現することができます。
雨水が重力で下に流れて行く軌道を想像しながら描き込んでいきます。
写真の状態だと色が1色で深みがないので、次の項目でエナメル塗料のクリアーオレンジを重ねてみようと思います。
塗装剥げ部分にクリアーオレンジを重ねて、深みを出す
次はまたまたエナメル塗料に戻って、錆の雨染みを表現していきます。
さっきの塗装剥げの箇所を水性アクリル塗料で塗装したことで、雨染みの描き込み作業の際に下地を溶かす心配をせずに作業を進めることができます。
あと汚しすぎた時でも、ウォッシングのようにエナメル溶剤と綿棒で拭き取ることもできます。
なるほど、塗装剥げをアクリルで書き込んだから、雨染みだけを拭き取ることができるんだね!
錆の雨染み用の塗料の準備
雨で赤錆が染み出した表現にするためにクリアーオレンジをベースに塗料を準備していきます。
クリアーオレンジ(X-26)のままだと、彩度が高すぎるので、ハルレッド(XF-9)を少量加えて、溶剤で薄めて塗布していきます。
錆の雨染みの描き込み作業
塗装が剥げているところをメインに、クリアーオレンジを薄塗りしていきます。
塗装剥げのまわりにじんわり塗ることで、錆の混じった茶色い雨水が広がった痕のような表現ができます。
よりじんわりと滲んだ感じにしたいときは、まず最初に無色のキレイなエナメル溶剤を先に塗っておき、その上からクリアーオレンジを乗せると、先に塗っておいたエナメル溶剤に塗料が滲んで、より自然な滲みの広がりを表現することができます。
今回はエナメル塗料を使用しているので、色を乗せすぎた時はエナメル溶剤を含ませた綿棒で拭取ったりして、塗料の乗り具合を調整していきます。
ガシガシ拭き取っても、下地の塗装剥げはアクリル塗料で描き込んだことで、エナメル塗料の部分だけ拭き取ることができます。
塗装剥げの描き込み完了!!
車体全体に塗装剥げの描き込みが完了しました。
ウォッシングと相まって、大分使い込まれた感が出てきたと思います。
ちなみに転輪部分ですが、ここは泥でほとんど隠してしまう予定なので、描き込みはしていません。
クリアーオレンジを上塗りした箇所の光沢感が少し気になりますが、このあたりは最後につや消しクリアーを吹いて落ち着けたいと思います。
いかがでしたか?
アクリル塗料とエナメル塗料を使い分けることで、効率よく汚しや拭き取り作業を進めることができます!
それぞれの塗料の特色をしっかり理解して塗装作業を進めることが大切だよ!
次の記事では、履帯と転輪に泥汚れを表現していきますので、ぜひ一緒に読んでみてね!
【タイガーⅠ・後期生産型】Part.18「パステルや絵具などの画材を使って、履帯・転輪の泥汚れを表現する」(タミヤ・1/48・制作記)